プロジェクト管理のベスト プラクティスとは?
さまざまな組織の多くのプロジェクトが失敗に終わっています。しかし、プロジェクト管理の専門家は、プロジェクトを進め、成功させ続けるのに役立つ、多数のベスト プラクティスを推奨しています。
専門家が推奨するプロジェクト管理の 15 のベスト プラクティス
以下に、プロジェクトを確実に成功へと導く上で不可欠であると専門家が語る、プロジェクト管理の 15 のベスト プラクティスをまとめました。
- 社内チームおよびクライアントと、キックオフ ミーティングを 1 度または 2 度実施する
キックオフ ミーティングを実施して、プロジェクトの全体的な目標と、そのプロジェクトが組織の戦略的目標とどのように一致しているかを説明することが重要です。また、作業とタイムラインの概要も提示する必要があります。 プロジェクト管理コンサルタントであり、Project Management Essentials (プロジェクト マネジメント エッセンシャルズ) の設立者であるアラン・ズッカー (Alan Zucker) 氏は、キックオフ ミーティングで以下のことを行う必要があると述べています。 - プロジェクトの進め方に関する基本ルールを確立する。
- 役割と責任に関する明確な期待事項を確立する。
- プロジェクトの目標とゴールを設定する。
場合によっては、キックオフ ミーティングを 2 度開催する必要があると言う専門家もいます。最初のミーティングには、自分が担当しているクライアント、重要な外部関係者、自社のスタッフを参加させる必要があります。2 度目のミーティングは、プロジェクトに割り当てられた社内スタッフを対象とします。
それでも専門家の中には、スタッフ、外部のクライアント、および重要な関係者が出席する、全員参加のキックオフ ミーティングの重要性を強調する人もいます。これにより、クライアントや関係者はプロジェクト チームをよく知ることができ、チームはクライアントのニーズや目標をより深く把握できます。 「時には個別のミーティングが必要な場合があります。しかし、私はチームに対し、チームの全メンバーと経営幹部との間で、できるだけ頻繁にチーム ミーティングを行い、全員の認識を一致させることを奨励します。」と、シカゴを拠点とする管理コンサルタント会社 Inspirant Group (インスピラント グループ) で、デジタル トランスフォーメーションおよび製品開発ディレクターを務めるサーマン・プーカーマニ (Saman Pourkermani) 氏は言います。
「クライアントの代表者が、日常業務に携わる人を含むチーム全員と話をしていると、非常にインパクトがあります。このようにして、『これは私の問題だ。』と認識するのです。つまり、チームにとってさらに多くのことを意味します。そして、それが彼らのやる気を引き出します。」と Pourkermani 氏は続けます。 - プロジェクトの戦略目標全体を強調する
チームに To-Do リストと締め切りを渡して、プロジェクトを手がけさせるだけではいけません。そのプロジェクトが組織の戦略目標全体とどのように関連しているかを、すべてのチーム メンバーが理解していることが重要です。
「プロジェクトの戦略目標全体を強調するのは、非常に大きなことです。」と Pourkermani 氏は言います。「私の考えでは、それが極めて重要です。トップ 10 の 1 つとして強調してもいいでしょう。また、リーダーシップと関係者が同じ認識を持つだけでなく、チームの全員がプロジェクトの目的を把握しているようにしてください。チーム メンバーが日々仕事をしている間に決定が下されます。その背景が非常に明確な形で念頭に刻まれていると、適切な意思決定をより迅速に行うことができます。立ち止まって手を上げ、『これは本当に必要ですか?』などと質問して、はっきりさせなければならない状況が少なくなるでしょう。そのような質問は足を引っ張ります。明らかに、そうした目的意識を持つことで、はるかに意味のある製品を生み出せます。」 「政治面で精通し、あらゆるプロジェクトや、その全体的な戦略的方向性についての、組織の真の目標とゴールを理解することも重要です。」と、国際的なプロジェクト管理コンサルタントで、モントリオールに拠点を置く Collectiver Inc. (コレクティヴァー Inc.) の創設者兼プリンシパルである、セルゲイ・ブロフキン (Sergei Brovkin) 氏は言います。「昔、あるアメリカの政治家は、『目標には、優れた目標と現実の目標という 2 つのものが常にある。』という格言を残しました。」と Brovkin 氏は続けます。「プロジェクトには、優れた目的と現実の目的という 2 つの目的があるのです。」 - プロジェクト憲章を作成する
プロジェクト憲章は、キックオフ ミーティングで取り上げた基本的な目標と要件の一部を詳述する文書です。プロジェクト憲章にはプロジェクトの概要と、主要な参加者、スコープ、目的、全体的な目標が記載されています。関係者は常にこの文書を参照し、自分の責任を理解できます。
「[プロジェクト憲章] はプロジェクトの出生証明書です。」と Brovkin 氏は言います。「これらが親で、これが名前だということ以外に、自分の子供についてまだ何も知りません。次は目標です。つまり、プロジェクトではこれとこれを達成する必要があり、この日までに行う必要がある、ということです。この文書によって、プロジェクトは正当なものになります。」
プロジェクト憲章の重要な要素について学び、無料のプロジェクト憲章テンプレートをダウンロードするには、「あらゆるビジネスに必須の、プロジェクト憲章テンプレートとガイドライン」をご覧ください。 - 簡単にアクセスできる単一のデータベースを使用して、プロジェクト情報を統合、追跡、レポートする
チーム メンバー全員が簡単にアクセスできる単一のオンライン データベースで、進捗を継続的に監視および追跡することが必要になるでしょう。 「チームはいずれ複雑に、かつ大規模になるので、共同作業ツールはますます複雑になっていきます。その際は、唯一の真実を持つことが重要です。」と、英国に拠点を置く Otobos Consultants Ltd (オトボス コンサルタンツ Ltd) でディレクターを務め、プロジェクト管理に関する著者、トレーナー、講演者であるエリザベス・ハリン (Elizabeth Harrin) 氏は言います。
こうした追跡機能とレポート機能を提供するツールは絶えず変化しています。また、言語や詳細なレポートよりもビジュアルを重視する人もいると、Zucker 氏は言います。(新しいタイプのビジュアル プロジェクト レポートの詳細については、以下をご覧ください。) - タスクをより小さな塊に分割するよう、従業員をコーチする
プロジェクト内のタスクの中には、当初は圧倒されるようなものもあります。また、期日がまだ遠い圧倒的なタスクにチーム メンバーが直面すると、その期日までに作業を完了させないことがよくあります。優れたプロジェクト マネージャーは、大規模なタスクを小規模で達成可能な作業の塊に分割するよう、チーム メンバーに教えています。そして、そうした塊の期日をそれぞれ設定します。
タスクを小規模な塊に分割する方法や、その他のプロジェクト管理のトップ プラクティスについて、Project Management Institute (プロジェクト マネジメント協会) が推奨している内容をさらに学習するには、PMI PMBOK® メソッド完全ガイドに関する記事をご覧ください。 - 役に立たないスコープ クリープに目を光らせる
外部のクライアントや社内の経営幹部は、プロジェクトの開始時に、またはプロジェクト憲章でチームが想定しなかった、別の新しい作業を提案したがることがあります。そうした追加の作業がプロジェクトの目標に適合しない、プロジェクトの締め切りに大きな影響を与える、またはその両方を生じさせる場合もあります。
プロジェクト リーダーはこの時点で、新しい作業や拡大された作業がプロジェクトに適していないことを、クライアントや経営幹部に納得させる必要があります。 「あなたが顧客のために働いている際、人々はコストやスケジュールを超えそうなものを見て、先送りになるのを恐れることがあります。だから勇気を出して、その子は醜いと上司に言う必要があるのです。」と、プロジェクト管理コンサルタントで、CJ Young Consulting (CJ ヤング コンサルティング) の社長兼 CEO を務めるシンディ・ヤング (Cindy Young) 氏は言います。
多くのプロジェクトでは、タスクが他の先行タスクの完了に依存するという、ウォーターフォール メソッドに正しく従っています。こうしたプロジェクトでは、スコープ クリープが特に厄介なものとなる場合があります。「その変更を加えた場合の、プロジェクトに対する好影響と悪影響について、スポンサーに残らず伝えて構いません。」と Young 氏は言います。スコープ クリープの効果的な対処方法の詳細については、プロジェクトの最悪の敵であるスコープ クリープに関する記事をご覧ください。 - 変化を予想し、進んで利用する
プロジェクト リーダーは、特定の状況でスコープ クリープと戦う必要がありますが、それと同時に、プロジェクトでは変更がほとんど避けられないこと、そしてそうした変更によって、より優れた製品や結果が得られる場合もあることを理解する必要があります。
当初はもっぱらソフトウェア開発で一般的だったプロジェクト管理のアジャイル手法は、現在では他の多くのプロジェクトで使用されていますが、そこではプロジェクトの変更を進んで利用しています。プロジェクト管理の修正版ウォーターフォール メソッドをリードしているプロジェクト マネージャーであっても、当初の計画の変更に備える必要があります。
「従来のプロジェクト管理の哲学では、変更はタイムラインに影響を与える可能性があるので、その回数を最小限に抑える、ということが言われてきました。」と Pourkermani 氏は言います。「代わりに、変化は常にあるという事実を認めるのです。それを想定しなければなりません。『変化を管理し、変化を基に素早く適応し、実際に活用して優位に立つにはどうすればよいか?』と自問しましょう。」
Otobos Consultants (オトボス コンサルタンツ) の Harrin 氏は、こう尋ねます。「スコープにあるものを変更して何が悪いのでしょう?製品をより便利にしたければ、絶えず変化する環境の中で関係者が求めることを達成するために、ずっと機敏にならなければなりません。」
考えられる変更について問題が発生した場合は、チーム メンバーを集め、ソリューションのブレインストーミングを行うのが役立ちます。共同作業とコミュニケーションを促す適切なツールを用意することで、このプロセスと最終的なソリューションを加速できます。この種のプロジェクト変更の管理に関する詳細は、PMI PMBOK® ガイド メソッドに関する記事をご覧ください。 - クライアントや主要な関係者との定期的なチェック イン
自分が担当しているクライアントや、その他の主要な関係者と定期的にチェック インを行うことが重要です。そうしたチェックインにより、最新情報を提供し、意見をもらうことができます。
「顧客や主要な関係者から定期的なフィードバックを求めてください。」と Zucker 氏は言います。「自分が開発しているものをその人たちに示しましょう。これにより、納品に関する期待事項のギャップが減ります。」
Pourkermani 氏も、クライアントや重要な関係者を含めたチーム全体で定期的なミーティングを行うことを提案しています。チーム全体に何百人ものメンバーが参加している場合、そうしたミーティングは 3 か月に 1 回程度でかまいません。チーム メンバーが 10 人程度であれば、2 週間または 1 か月ごとにミーティングを開きます。
「[こうしたミーティング] の目的はひとえに、関係者や顧客と、プロジェクト チームとして歩調を合わせ、同期し続けることです。」と Pourkermani 氏は言います。 - プロジェクトと自分たちのプロセスを絶えず見直し、必要な変更を加える
作業を行う際には、プロジェクトの要素の変更を受け入れるだけではいけません。進んでプロセスに変更を加えることも必要です。
「プロジェクト全体を通して、意識して頻繁に振り返ることが重要です。」と Pourkermani 氏は言います。「製品や、自分たちが構築または納品しているものだけでなく、自分たちが現在のプロセスでどのように作業しているのかについても振り返るのです。たとえば、現在行っているプランニング プロセスは最も効果的な方法でしょうか?プロジェクト全体を通じて頻繁に再評価を行い、実際の作業方法を継続的に改善するメカニズムを確立してください。」
「アジャイルではそうした振り返りが行われます。」と Harrin 氏は言います。
Zucker 氏は、プロセスの継続的改善に焦点を当てた、「カイゼン」という日本生まれの慣行の提唱者です。この日本語は「改善に向けた変化」と翻訳され、プロジェクト管理、製造、およびその他の分野で組織が実践しています。
「カイゼンとは、トヨタのリーン生産システムから生まれたコンセプトです。」と Zucker 氏は言います。「その発想は、自動車を製造している作業員のチームがプロセスの改善方法を特定でき、そうした変更が実際に実施される、というものでした。継続的改善という考え方は、スケールの大きいアジャイルでは『絶え間ない改善』と呼んでいますが、これはスプリントの最後にそのスプリントの振り返りを行い、改善方法を特定するという発想です。そして次のイテレーションやスプリントで、これらの改善、またはその一部を実際に行います。」
リーンとカイゼンの詳細については、「リーン プロジェクト管理の決定版ガイド」をご覧ください。 - クライアントとの関係を優先する
それは単なる必須のチェックインではないと、Young 氏は言います。つまり、すぐにメールを読んで返信する、または折り返しの電話をすぐにかける、ということです。
「顧客はそれを、金銭以上に重要だと感じています。」と Young 氏は言います。「自分が優先されていることに気づいた顧客は、サポートに必要な質問に答えてくれますし、あなたが自分たちのために働いているだけでなく、自分たちチームの一員であると思ってくれます。」 - 問題や課題を適切にエスカレートするプロセスの構築
問題や課題は多くの場合、プロジェクト チームの低い階層で発生します。低階層の作業者は、叱責や非難を恐れて、プロジェクトの上級リーダー、クライアント、主要な関係者に問題を伝えようとしません。
プロジェクトの最初に、問題の重要度と、さまざまな種類の問題の適切なエスカレーション パスを特定する、問題エスカレーション マトリクスを作成しましょう。
また、アジャイルなどのプロジェクト管理方法の一部である、スタンドアップ ミーティングやフォローアップ ミーティングを毎日実施している場合、エスカレーションを非公式に行うことができると、Zucker 氏は言います。
「プロセスを作成して、問題や課題を迅速に解決できるようにしましょう。毎日のスタンドアップ ミーティングで問題を特定し、その後のミーティングですぐに解決するのです。」 - 作業、変更、意思決定、進捗を適切に文書化する
プロジェクトの現状の基礎に関する詳細な文書を維持します。つまり、プロジェクトの目標とタスク、ボトルネック、スコープの変更、タスクの依存関係の文書化です。この文書は、新しいチーム メンバーがプロジェクトをよく知る上で役立ちます。また、より良い意思決定を行い、課題や問題から学ぶのにも役立ちます。
チームがプロジェクトの監視と追跡に使用しているソフトウェアで、文書化をサポートする必要があります。詳細については、「便利な Excel 用プロジェクト管理テンプレート」にアクセスして、無料のプロジェクト管理テンプレートをダウンロードしてください。 - 必要に応じてプロジェクトの中止を覚悟する
プロジェクトの目標がビジネスの現実と一致しなくなったことを認めなければならない場合もあります。そうしたビジネスの現実 (市場における製品の潜在的需要や、製品の有用性) は、急に変化する可能性があります。 「今や、別の種類のスコープ クリープに直面しようとしています。」と、プロジェクト管理とビジネス能力に関する著者兼講演者のラマーナ・アトリ (Raman Attri) 氏は言います。「プロジェクトを実行する際に、そうした危険性が視野から消えることはないからです。その間にテクノロジーが変化し、当初念頭に置いていたソリューションが機能すらしない、という危険性です。」
このような場合は、プロジェクト全体の終了を勧告できる強力なプロジェクト リーダーが必要です。急に現われた良からぬアイデアに、組織のリソースを無駄遣いしないようにする必要があります。
このような場合、組織は極めて基本的な決定を下す必要があると、Attri 氏は言います。「このプロジェクトを続けるべきか、それとも中止すべきか?経営陣が非常に厳しい言葉でプロジェクトを中止を求める場合もあります。もはや無効だとわかっているからです。」と Attri 氏は言います。 - コンテキストの重要性を理解する
組織とプロジェクトはどれも異なります。同じ組織内の似たようなプロジェクトですら、開始時期が異なれば別物になります。
要するに、プロジェクトが存在する環境と背景が非常に重要なのです。プロジェクトで従うことが不可欠なベスト プラクティスと、捨て去ってもよいベスト プラクティスを検討する際は、この点を念頭に置いてください。
Project Management Essentials (プロジェクト マネジメント エッセンシャルズ) の Zucker 氏は、「私が教えているとき、多くの時間を費やすことの 1 つに、背景こそが重要だという考え方を伝えることがあります。」と言います。「プロジェクト、組織、そして業界は、どれも多少異なります。プロジェクトとプロジェクト管理は、万能の取り組みではないことを認識しましょう。プロジェクト マネージャーとして意思決定を行う際は、自分が活動している環境を理解し、それに応じて意思決定を行う必要があります。そこに大きな価値があるのです。」 - ベスト プラクティスはただのリストではない — 微調整を伴う現在進行形のプロセスである
Otobos Consultants (オトボス コンサルタンツ) の Harrin 氏は、ベスト プラクティスのリストに従うだけなら、優れたプロジェクト管理を行っていないと言います。リストに載っていない場合でも、あるいは従来のベスト プラクティスと違うように思えても、合理的な調整を行う必要があります。
「『ベスト プラクティス』という用語は、1 つ 1 つ実行してボックスにチェックを入れなければならない一連の事項が存在する、ということを意味します。」と Harrin 氏は言います。「そして、プロジェクト管理は今やウォーターフォールから離れ...アジャイル手法とハイブリッド手法をカバーする、はるかに包括的な方法に移りつつあり、唯一のベスト プラクティスのセットというものはないのです。そのため、人々が実行すべき優れた事項のリストを生み出そうとしています。とは言え、自分が行うあらゆることを『ベスト プラクティス』と表現してよいものかどうか、確信はありません。その言葉は、そこから外れたものは何らかの形で間違っている。あるいは最適な結果をもたらさないないかもしれない、ということを暗示しています。」
プロジェクト管理ガイド
プロジェクト管理のすべてが一元的に
プロジェクト管理の取り組みを向上させる準備はできていますか?作業をより効果的に管理するためのヒント、ベスト プラクティス、無料のリソースについては、包括的なプロジェクト管理ガイドをご覧ください。
2021 プロジェクト管理ベスト プラクティス スタータ キット
このスタータ キットには、ベスト プラクティス チェックリスト、実行クイック ガイド、およびテンプレート パッケージが含まれており、あなたとチームがプロジェクト管理におけるベスト プラクティスの基本を理解し、実行するのに役立ちます。
2021 プロジェクト管理ベスト プラクティス スタータ キットをダウンロード
プロジェクト管理ベスト プラクティス チェックリスト
ベスト プラクティスの実行方法に関する、ステップバイステップのクイック ガイド
チームはこのシンプルなクイック ガイドを使用して、組織がプロジェクト管理のベスト プラクティスを実施できるようにする方法を、順を追って理解できます。このクイック ガイドには、組織が問題のある領域について話し合い、それら問題領域のコストを数値化する際のヒントや、プロジェクト管理の言語をプロセスから全体的目標の達成に移す方法についての情報が用意されています。
アジャイル プロジェクト計画テンプレート
このアジャイル プロジェクト計画テンプレートを使用すると、アジャイル手法を用いてプロジェクトを計画できます。このテンプレートには、特定のアジャイル スプリントのエントリと、それらスプリント内の機能が含まれています。また、各項目を担当するチーム メンバー、計画された開始日と終了日、現在のステータスのセクションも含まれています。
アジャイル プロジェクト計画テンプレートをダウンロード
プロジェクト計画テンプレート
このプロジェクト計画テンプレートを使用して、プロジェクトの詳細な計画を作成します。このテンプレートを使用すると、すべてのプロジェクト フェーズで詳細なエントリを作成できます。これには、プロジェクトの構想と開始、定義と計画、立ち上げと実行、パフォーマンスと監視のエントリが含まれます。
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プロジェクト リスク管理テンプレート
このプロジェクト リスク管理テンプレートを使用すると、プロジェクトに影響を与えうるリスクを評価および説明するのに役立ちます。このテンプレートは、プロジェクトのさまざまなタスクに関連するリスクと、それらのリスクが低レベル、中レベル、高レベルのどれかを評価するのに役立ちます。
プロジェクト リスク管理テンプレートをダウンロード
プロジェクト追跡テンプレート
このプロジェクト追跡テンプレートを使用して、複数のプロジェクトの進捗を監視します。このテンプレートには、さまざまなプロジェクトのタスクのエントリ、および各タスクの優先順位とそのタスクのステータスを示すエントリが含まれています。
プロジェクト追跡テンプレートをダウンロード
プロジェクト エグゼクティブ サマリー
このプロジェクト エグゼクティブ サマリー テンプレートを使用して、プロジェクトに関与することが少ない会社のリーダーや従業員にプロジェクトの概要を提供します。このテンプレートには、プロジェクト リード、プロジェクト マイルストーン、ステータスの概要、プロジェクトに関する問題のエントリが含まれています。
プロジェクト エグゼクティブ サマリーをダウンロード
プロジェクト ガバナンス計画テンプレート
このプロジェクト ガバナンス計画テンプレートを使用して、プロジェクトの詳細と、プロジェクトの前進方法、そしてプロジェクト リーダーによる管理および調整方法についての情報を提供します。このテンプレートには、作業のスコープ、要件、特定のタスク、各成果物の責任者のエントリが含まれます。また、問題を追跡するためのエントリや、チームが会社のリーダーに警告し、解決に導く方法のエントリも含まれています。
プロジェクト ガバナンス計画テンプレートをダウンロード - Microsoft Excel
プロジェクト管理ダッシュボード テンプレート
このプロジェクト管理ダッシュボード テンプレートを使用して、プロジェクトとステータスの概要を提供します。このテンプレートには、タスク、タスクの担当者、および全タスクの進捗のエントリが含まれています。また、タスクのステータスや、計画された予算と実際の支出に関するグラフィカルな概要も表示されます。
プロジェクト管理ダッシュボード テンプレートをダウンロード - Microsoft Excel
上記すべてのテンプレートを簡単にダウンロードできるファイルにまとめた、プロジェクト管理テンプレート スタータキットを入手してください。
優れたプロジェクト チームの構築と維持に関するベスト プラクティス
プロジェクト管理のベスト プラクティスにおける広大なエリアの 1 つに、優れたチームの構築という、最も重要なものがあります。優れたチームがなければ、プロジェクトは必ず失敗します。
優れたチームの構築と維持に関する専門家のヒントを以下に示します。
- プロジェクト マネージャーを選ぶ上で、プロジェクト マネジメント プロフェッショナルやその他の認定のみに焦点を当ててはいけない
Project Management Institute (プロジェクト マネジメント協会) が実施している、定評のあるプロジェクト マネジメント プロフェッショナル認定など、認定は大事です。しかし、すべてのプロジェクトで PMP や同様の認定を持つリーダーが必要なわけではありません。また、認定を持たないプロジェクト マネージャーの中にも、プロジェクト マネージャーとして優れている人は数多くいると、Young 氏は言います。
Young 氏は、アメリカ海軍に所属していた 23 年間で、プロジェクト管理について多くのことを学んだと言います。
「プロジェクト管理にとても優れ、長年携わっている人もいます。そうした人たちが軍で一日中プロジェクト管理を行っているのを目にします。軍に所属している場合、プロジェクトを管理するために PMP 認定を受ける必要はありません。そして、そこで多くの経験を得たのです。だから、プロジェクトをうまく進める上で PMP は必ずしも必要ありません。PMP がなくても、経験豊富でプロジェクト管理が得意な人を見落とさないでください。」
プロジェクト マネージャー認定とトレーニング コースの詳細については、『プロジェクト マネージャーになる方法』をご覧ください。強力なマーケティング プロジェクト マネージャーを形作る要素の詳細については、マクロ マーケティングとマイクロ マーケティングの PM スキルに関する記事をご覧ください。 - プロジェクト マネージャーは対象分野の専門家でなければならないと思い込まない
組織は時として、一定年数のエンジニア経験を持つプロジェクト マネージャーが必要だ、などと言うことがあります。または、特定の業界で豊富な管理経験を持つプロジェクト マネージャーが必要だ、と言うこともあります。Collectiver, Inc. (コレクティヴァー Inc.) の Brovkin 氏は、それはほとんどの場合、見当違いの条件だと言います。
「要するに、私をエンジニアとして働かせようとするなら、人選が間違っています。実際、幅広い経歴を持つエンジニアだからです。私はエンジニアリングの多くの分野で何をすべきか判断できます。しかし、それを求められているわけではないのです。」
実際、エンジニアであることや、その他の専門知識があることは、優れたプロジェクト マネージャーになる上で悪影響を与える可能性があると Brovkin 氏は言います。どうでもいい詳細をほじくり返す傾向があるかもしれません。
「ここでのベスト プラクティスは、タスクを明確にし、非常に優れたチームをまとめ上げることができるプロジェクト マネージャーを見つけることです。そのチームは団結力が高く、プロジェクトの真の目的に歩調を合わせることができます。そして、好きにさせればいいのです。」と Brovkin 氏は言います。 - チームをどうまとめるかについて、特に思考を巡らせる
プロジェクトの成功を決める最も重要な要因の 1 つに、プロジェクト チームの構成があります。チーム メンバーは歩調を合わせる必要があります。つまり、同様の価値観、プロジェクトの目標に関する同じ態度、仕事の進め方に関する共通の理解を持つ必要があるのです。
「チームの足並みが揃っていて、プロジェクト マネージャーとしてそれがわかっているなら、はるかに効果的で効率的です。」と Brovkin 氏は言います。「そこで働くのはわくわくします。プロジェクトは時間通りに進み、誰もが幸せで、すべてがうまくいきます。」
Brovkin 氏は、ある程度のケアを受けているチームは非常に効果的かつ効率的になり、まるで人間の脳のように機能できると言います。
「私があなたにボールを投げたら、あなたはどうしますか?何も考えずに腕を動かし、手を開き、ボールをキャッチし、手を握る。指や腕に何をすべきか伝えていますか?いいえ。考えてすらいません。そして、『どのようにやったか』と訊かれたら、実際の出来事よりも説明のほうが、はるかに時間がかかります。チームはそのようにして仕事する必要があります。
CEO がそれを見て、『こちらにボールが飛んでくるのが見える。』と言う必要はありません。腕を動かすよう自分に伝えますか?前線で指を動かす最後の男にたどり着くまで、そんなことを言いますか?そんなことはありません。なぜなら、チームは生物として働く必要があるからです。」と Brovkin 氏は言います。 - プロジェクトではなくチームに資金を提供する
Zucker 氏は、ひとたび優れたチームをまとめたら、プロジェクトが生まれるたびにそれを解体して変えたくはないと言います。
そして、心理学者のブルース・タックマン (Bruce Tuckman) が 1960 年代に記した、Tuckman (タックマン) のグループ開発モデルを引用します。このモデルでは、グループが進む 4 つの段階 (形成、ストーミング、規範化、実行) を挙げています。各段階は、チームが集まり、協調して仕事することを学ぶステップを表します。
チームが一体となってうまく協調し始めたら、プロジェクトが終了したからといって解散させるべきではないと、Zucker 氏は言います。むしろ、その後のプロジェクトも引き続き一緒に取り組むのです。
「プロジェクトではなく、チームに資金を提供しましょう。優秀なチームを構築する。チームはそのままにして、それらのチームに仕事を渡す。
つまり、長続きする永続的なチームの構築を始める、という考え方です。そこではまずチームを編成し、その後チームはパフォーマンスを高め、一緒に働く方法を知ります。新しいチームの編成を続けていたら、いつも最初へ逆戻りです。」と、Zucker 氏は言います。 - 作業を割り当てる際に、チーム メンバーの強みを考慮する
しっかり編成されたチームでも、チーム メンバーの才能や強みは様々です。作業を割り当てる際は、それを慎重に考えてください。各チーム メンバーの強みを活かし、可能な限りそれらの強みを活かしましょう。
- チームおよび各メンバーとのチェックインを定期的に、かつ頻繁に行う
チーム全体および個々のチーム メンバーと、定期的にチェックインを行うことが不可欠です。
チーム メンバー全員と短時間のスタンドアップ ミーティングを毎日行うことは、アジャイル プロジェクト管理手法の重要な一部です。しかし、他の多くのプロジェクト管理手法でも、同様のことを行う場合があります。ミーティングは短くする必要があり、多くの場合 15 分以内です。前日に何をしたか、今日は何をする予定か、目の前にどんなハードルがあるかを、全員が話し合います。
また、プロジェクト マネージャーと各チーム メンバーの間で個別のミーティングを行うことも重要です。チーム メンバーとプロジェクト マネージャーは、各メンバーの作業、抱えている問題、および目標について、より具体的に話し合うことができます。通常、こうした個別ミーティングは毎日ではなく週単位で行われ、大規模チームの場合は隔週で行うこともあります。このミーティングは、プロジェクトの規模や長さに関係なく重要です。
1,100 名以上のリモート ワーカーを対象とした最近の調査によると、チェックインでは頻度よりも一貫性のほうが重要であることがわかりました。週単位でも、あるいはその他の頻度でも、チェックインはスケジュールどおりに行います。
また同じ調査によると、リモート ワーカーの 46% が、最も成果を上げているプロジェクト マネージャーは自分たちと定期的にチェックインを行っていると回答しました。 - 各チーム メンバーの作業量に注意する
プロジェクトの作業計画を設定し、継続的に調整する際は、各チーム メンバーの作業量をしっかり把握してください。プロジェクト マネージャーがそれを追跡しないと、プロジェクトの特定の領域に存在する重要なタスクや期日のせいで、個々のチーム メンバーに負担がかかるので、チーム メンバーの効率が下がり、不満が膨らみます。これにより、プロジェクト全体の進捗に害が及びます。Otobos Consultants (オトボス コンサルタンツ) の Harrin 氏は、それに関する提言をしています。プロジェクト マネージャーは、作業に関連するチーム メンバーの精神衛生全般について、常に考える必要があるのです。
「私たちはプロジェクト マネージャーで、精神医ではありませんが、職場での健康状態と、チームのニーズに目を光らせることについての議論をしました。」と、彼女は言います。「プロジェクトに携わる生活はストレスが多く、改善できることがある、という認識があると思います。」 - チーム内の信頼を育む
チームが同じような価値観や態度を持つことは、互いに信頼関係を築く上で重要です。
「チームの機能性の基盤となるのは、チーム内の信頼関係です。」と Brovkin 氏は言います。「信頼関係があれば、『あなたの上司がこれに署名したのか?』などと尋ねる必要はありません。企業では通常、すべての契約は最高幹部が署名しなければなりません。信頼関係がないからです。チームを効果的になものにするには、すべてが信頼関係に基づいて構築される必要があります。」 - プロジェクト マネージャーとして政治的に精通している
プロジェクト マネージャーとして、政治的スキルや対人スキルがあると役に立ちます。時には、プロジェクトに役立つリソースを得るために、組織のリーダーを味方につけなければならず、その方法を理解する必要が生じます。また、チーム メンバーを、そのプロジェクトやチームに適した人物に交代しなければならない場合もあると、Brovkin 氏は言います。
「ライン マネージャーのところに行って、『この人を交代させてもらえますか?』と言う必要があるかもしれません。」Brovkin 氏は指摘します。「それは実現するでしょうか?そうなるかもしれないし、ならないかもしれません。あなたが口達者で、なおかつその部門に十分な余裕があるなら、その人物を別の人と交代させることができます。これはプロジェクト管理よりも、むしろ企業内政治と関係があります。それをベスト プラクティスと呼びたくはありませんが、政治的に精通しているプロジェクト マネージャーを抱えるのはベスト プラクティスです。」 - 恐れることなく環境を作る
チーム メンバーは、チーム リーダーに無視されたり、軽蔑されたり、叱られたりすることなく、自由にアイデアを提案し、うまくいっていないことに関する懸念を提起できる必要があります。善意によるものであれば間違いを犯しても大丈夫だと、メンバーが理解している必要があります。
「多様性を受け入れ、恐れることなく環境を構築しましょう。」と Zucker 氏は言います。「誰でも、どんなアイデアでも歓迎します。失敗しようと頑張る人など、誰もいません。間違いを教育の機会として活用するのです。」 - 成功を祝う
チームと成功を祝う時間を持つべきだと、Harrin 氏は言います。
「それは十分に行われていません。必ずしも、他のことより重要なわけではありません。しかし、たとえプロジェクトが早々と終了したとしても、何とか達成できた成功を祝う必要があります。人生は困難に満ちており、自分たちが何を達成したかを振り返るのは素晴らしいことだからです。」
時代遅れになりつつある過去のベスト プラクティス
過去のベスト プラクティスの一部は時代遅れになりつつあると、専門家は言っています。そうした傾向にあるベスト プラクティスは、人々が考えるほど役に立たなかったのかもしれません。または、プロジェクトの作業が変化し、より機敏になる必要がある中で、うまく機能しないのかもしれません。
もはや意義を失ったと専門家が言う、時代遅れとなったベスト プラクティスを次にいくつか示します。
- 対面ミーティングを日常的に行う
チーム メンバーやクライアントと何度も対面ミーティングを行うことは、不要で無駄だと Young 氏は言います。チーム メンバーが異なるオフィスで働いている場合や、最近のようにリモートで働いている場合は特にそうです。
「顧客もあなた自身も、移動にかかる時間を節約できます。」と Young 氏は言います。「会議室なんかを予約する必要はありません。もちろん、Zoom 疲れはあるでしょう。しかし、それは大したことではありません。その後すぐ仕事に戻れるので、私はこちらのほうをお勧めします。」 - スコープ、目的、タイムラインの詳細な文書を作成する
従来のプロジェクト管理手法では、プロジェクト マネージャーは要件、特定のタスク、期日に関する詳細を含む、細かな計画を事前に作成します。通常、そうした計画の作成には数週間以上かかるでしょう。
しかし、ソフトウェアなどの製品を作る場合でも、またはその他の種類のプロジェクトでも、そのような計画はめったに機能しません。
「このアプローチの課題は、(製品の) 開発やテストに取りかかる頃には、数か月経過している可能性がある、ということです。」と Pourkermani 氏は言います。「市場はすでに変わったかもしれません。それだけではなく、物事を生み出すには、それよりはるかに長い時間がかかります。」
Pourkermani 氏は、プロジェクトの基本的なロードマップを持つことが大事だと言います。「それは非常に価値があります。しかし、詳細なプロジェクト計画を事前に生み出すのに数週間から数か月を費やす、という事態は避けてください。完成した時点でその計画は時代遅れになっていると、誰もがわかっています。
多くの時間をかけて一部の詳細について考えるのではなく、『今後数週間で、ここまで進むつもりだ。』という、より高レベルの計画を立ててください。そのほうがはるかに価値があります。作業をより早く開始して実行に移せるよう、十分な計画を立てることに重点を置くのです。」
Harrin 氏も、現在プロジェクト マネージャーが多数のプロジェクト手法で使用している「ローリング ウェーブ プランニング、漸進的な詳細化」を行うのが優れたプロセスだと言います。このアイデアは、アジャイル手法にヒントを得たものです。
「これは非常に長期のプロジェクトを計画する際に、ユーザー、時間、および関係者をはるかに重視する方法です。」と、Harrin 氏は言います。「そう、明確な計画を立てましょう。全体像のスケジュールが明らかに必要です。とは言え、すべての詳細を得られるわけではありません。」 - プロジェクト管理の役割を策定し、形式化する
プロジェクト管理チームに対して、トップの役割と、他の重要な役割をいくつか確立することがあります。しかし、チーム メンバー全員について、あるいはチーム メンバーの大半についてであっても、役割を正式に確立しないでください。
「スクラム チームを含むアジャイル チームは、自己組織化する傾向があります。」と Harrin 氏は言います。「多くの場合、そうしたチーム内の人々はさまざまな領域にわたっているので、複数の役割を引き受けることができます。だからといって、役割が定義されていないわけではありません。しかし、1 人が 3 つの役割を引き受けている場合もあります。人々がよりハイブリッドな職務に就くという方向に向かっていると思います。」 - リスク対応チームを構成するなど、リスクを事前に管理する
プロジェクトのリスクを事前に評価し、そうしたリスクを軽減する方法を見極める必要があります。また、問題が発生した際にチームがどう対応するかを把握する必要もあります。しかし、リスク管理を当初から過度に計画すべきではありませんし、専門家が過去に提案した個別のリスク対応チームは、一般的に悪い考え方です。つまりプロジェクト チーム内のそうした小規模なチームが、プロジェクトに問題を引き起こすリスクやハードルを評価し、対応する責任を担うのです。
「リスクの管理と対処に最適なのは、チーム メンバー自身です。」と Pourkermani 氏は言います。「チームにリスクを負ってもらう。対応チームを作ってはいけません。」
「最近では、リスク対応チームは存在しません。」と、作家でプロジェクト管理講演者の Attri 氏は言います。「なぜなら、プロジェクト管理で行うことはすべてリスクだからです。スケジュールのリスク、品質のリスク、関係者の期待事項のリスク、タイムラインのリスク、すべてのリスク。基本的に、私たちが言及しているのはプロジェクト管理のあらゆるポイントであり、私たちはリスクを管理しているのです。これがプロジェクト リーダーの中核的な責任です。」 - 詳細な作業承認と変更管理プロセスを策定する
プロジェクトには変更がつきものであり、迅速に適応する必要があります。変更をただちに認識して承認するプロセスを策定しますが、変更がすぐに行われるのを妨げるほど、複雑または正式なものにしてはいけません。 - スコープなどの変更が生じた後に、クライアントや重要なチーム メンバーと新しい合意を締結する
これまで、従来のプロジェクト管理手法の中には、スコープやスケジュールの変更について、クライアントや重要なプロジェクト リーダーの書面による承認が必要なものもありました。しかし、そうしたプロセスは扱いにくく、多くの場合、重要な作業を遅らせていました。
「昔、私がプロジェクト管理を始めたときには、プロジェクト文書がありました。」と Harrin 氏は言います。「それを持ってオフィスを歩き回り、デスクの前に立って署名してもらっていました。それも今や昔話です。」文書に署名してもらうチャンスはなかなかなかったと、彼女は言います。
Harrin 氏によれば、特にクライアント側からの重要な変更に関しては、今後も書面による承認が必要です。しかし多くの場合、シンプルな電子メール承認や電子署名になります。正式な文書を書き換え、回覧することは、不要で非効率です。 - 最終ラップアップ ミーティングやポストモーテムを開く
ラップアップ ミーティングや正式なポストモーテム ミーティングを開くのではなく、プロジェクト チームのメンバーがプロジェクトを通じて提起する問題点について話し合い、対処する必要があります。
「プロジェクトの最後にポストモーテムを行うのではなく、プロジェクト全体を通して、意識して頻繁に振り返ることが重要です。」と Pourkermani 氏は言います。「製品や、自分たちが構築または納品しているものについてだけでなく、自分たちが作業している方法や、自分たちが使っているプロセスについて振り返るのです。自分たちが行っているこのプランニングのプロセスは、一番効果的な方法だろうか?プロジェクト全体を通じてそれを頻繁に再評価し、作業方法を継続的に改善するメカニズムを確立してください。」
「ラップアップ ミーティングやプロジェクトのポストモーテムは、おそらく減少していると思います。」と Harrin 氏は言います。「人々は反復して、そうしたミーティングを開いているのだと思いますし、またそうすべきです。ポストモーテムと、それに伴う思考プロセスに関して、やるべきことがあると思います。とは言え、最後まで待つべきではないでしょう。賢明なプロジェクト マネージャーは、プロジェクト全体を通して学んだ教訓に目を向けています。」
時代遅れになりつつある以前のベスト プラクティス
ここでは、プロジェクトやプロジェクト管理が変化する中で、重要度が低い、または時代遅れであると専門家が言う、過去のベスト プラクティスをいくつか紹介します。
過去のベスト プラクティス | なぜ時代遅れなのか、あるいは重要ではないのか |
---|---|
対面会議を日常的に行う | チーム メンバーやクライアントとの対面ミーティングは、多くの場合不要で無駄です。チーム メンバーが異なるオフィスで働いている場合や、最近のようにリモートで働いている場合は特にそうです。 |
スコープ、目的、タイムラインの詳細な文書を作成する | スコープ、目的、タイムラインの詳細な文書は、多くの場合作成に時間がかかりすぎ、プロジェクトに変更があるとすぐに意義を失います。 |
プロジェクト管理の役割を策定し、形式化する | トップの役割をいくつか確立する場合もありますが、チームの多くは自己組織化し、チーム メンバーの中には複数の役割を担う人もいます。 |
個別のリスク対応チームを持つ | プロジェクトに対するリスクを事前に評価し、それらのリスクを管理します。しかし、過去に推奨されたリスク対応チームは効果がない場合もあります。プロジェクト チームのメンバー自身が、常にリスク管理に関わる必要があります。 |
詳細な作業承認と変更管理プロセスを持つ | 詳細な承認プロセスと変更管理プロセスは非効率で効果がありません。重要な変更については書面による承認を得ますが、電子メールやデジタル署名によって実現できます。 |
最終ラップアップ ミーティング/ポストモーテムを開く | プロジェクト全体のチェックイン時に、最終ミーティングで以前に取り上げた可能性のある、重要な問題について話し合います。問題に対処し、前進してください。 |
優れたプロジェクト管理における今後のトレンド
専門家は、優れたプロジェクト管理のトレンドとなりつつある新しい慣行をいくつか挙げています。これらをヒントに、プロジェクトをより効果的かつ効率的に進めることができます。
- アクション指向型プロジェクト管理
将来のプロジェクト管理では、多くのプロジェクトで見られる直線的な性質から離れることになると、Attri 氏は示唆しています。Attri 氏によると、それは時間がかかりすぎ、合理的な期間で十分な結果が出せません。
「従来のプロジェクト管理では、左から右に始めます。スコープから始め、次に関係者と足並みを揃え、(それから) 自分たちの計画がどういったものかに目を向け、リソースを探し始めます。従来のプロジェクトでは、プロジェクトが完了する日付を設定していると、Attri 氏は言います。
しかし Attri 氏によると、プロジェクトは完了するのに時間がかかるため、多くの場合このアプローチでは遅すぎます。
その代わりに、プロジェクト リーダーは次のように問うべきです。「結果から始めよう — 結果はどうなるだろうか?実際には何が含まれているのか?仕様はどうなっているのか?ここで、逆から見てみよう。『いったいどのようなリソースが必要になるだろうか?3 名のスタッフが必要になるだろうか?6 名のスタッフが必要になるだろうか?そして、それぞれのスタッフは、1 か月、あるいは2 か月にわたって必要になるだろうか?』それにタイムラインを設けると、1 年ではなく 3 か月で完了できる。これらのリソースが必要かもしれない。この機能全体をなくす必要があるかもしれない。このサイド プロジェクトを中止する必要があるかもしれない。そこで、逆から見ることでそのスピードがわかる。」
Attri 氏は、組織のリーダーはプロジェクトをより迅速に完了させるアプローチを即座に重視すると述べています。「一度味わえば、年単位のプロジェクト管理に戻ることは決してありません。」と Attri 氏は言います。「彼らは常に、この非常に加速したプロジェクト管理を期待し、それが当たり前になると考えています。」 - よりシンプルなビジュアルとグラフィックスを通じた追跡と報告
Zucker 氏は、多くのプロジェクト管理チームが従来の書面によるステータス レポートから遠ざかっていると言います。氏によると、そうしたステータス レポートは「多くの場合記述が貧弱で、滅多に読まれない。」ものでした。現在では、プロジェクトの進捗をより視覚的に示すチームが増えています。一例として、オフィスやオンライン ポータルでのカンバン ボードが挙げられます。
「カンバン ボードが優れているのは、明快で視覚に訴えることです。」と Zucker 氏は言います。
カンバン フレームワークとカンバン ボードの詳細については、カンバン方式の包括的ガイドをご覧ください。
プロジェクト管理のベスト プラクティスの実例
プロジェクト管理で基本的なベスト プラクティスをいくつか使用すると、実際のプロジェクトに現実的な影響を与えることができます。実際の例を次に示します。
- より効率的なミーティング
Brovkin 氏がコンサルティングを行っているあるハイテク企業は、ソフトウェアの更新バージョンの作成に時間がかかりすぎていることに気づきました。同社の通常プロセスの中には、毎週 22 名もの取締役を集めて 3 時間のミーティングを行うというものがありました。
Brovkin 氏は業務を調整し、それより少数の人物がはるかに短い時間でミーティングを行い、それでも業務を完遂できるようにしました。
「私はこう言ったのです。『さあ皆さん、効率の話をしましょう。22 名の取締役が 3 時間一緒に過ごしたら、その費用はどれくらいになりますか?』そこで、10 人しか入れない部屋を予約し、11 時から正午までのミーティングを予定しました。正午になれば、誰でも昼食をとりたいですよね。嫌な顔をした人はいません。会議はずっとうまくいきました。プロジェクトの実際のコストも即座に削減できました。」 - 負荷がかかりすぎないように、チームのキャパシティを監視する
チームのキャパシティをよりよく把握し、監視できるよう、クライアントと協力することがよくあると、Inspirant Group (インスピラント グループ) の Pourkermani 氏は言います。つまり、「フル稼働状態にならないようにして、キャパシティが解放された場合にのみ作業を受け入れる。」ということです。
「このシンプルな変更のおかげで、一緒に働いてきた複数のチームにメリットがもたらされました。」と Pourkermani 氏は言います。
チームはコミットした仕事をより速く終えました。最初の 1 年間で、50% から 300% に増加したのです。「興味深いことに、スピードを落とすことで、より速く進むようになりました。」と Pourkermani 氏は言います。
氏によると、チームは製品の品質も改善し、期間内に完了したプロジェクトの割合も増えたとのことです。 - チームや関係者とのすり合わせミーティングをより頻繁に実施する
Pourkermani 氏は、チームの調整と前進に重点を置いたすり合わせミーティングで、クライアントと協力してきたと述べています。クイック チェックイン (アジャイル チームが活用しているデイリー スタンドアップ ミーティングと同様のもの) によって「作業の進捗状況を可視化できる。」
と、Pourkermani 氏は言います。すり合わせミーティングには、プロジェクト チームのメンバーだけが参加する場合もあれば、クライアントや関係者を加える場合もあります。いずれにしても、こうしたミーティングによって、チームはより頻繁に調整を行い、物事を順調に進めることができます。また Pourkermani 氏は、チーム メンバーは「後でなく今すぐ助け合って、障害や足を引っ張るものを排除できる。」と言います。Pourkermani 氏によると、すり合わせミーティングの増加に取り組んだクライアントは「調整とスピードが劇的に向上したと報告しています。この調整により、共同作業、エンゲージメント、透明性、スループットが向上したと、関係者とチームの両方が報告したのです。」 - カンバン ボードを掲示して進捗を示す
Zucker 氏はある大規模な非営利団体で、その組織に入って間もない IT 担当副社長と協力した時のことを振り返ります。その副社長が付箋やテープを使って、自分の部門のプロジェクト ポートフォリオに関するカンバン ボードを組み立てるのを、Zucker 氏は手伝いました。
組織中の人々が、特定のプロジェクトの最新情報と共に、自分の部門が何に取り組んでいるのかを尋ねてきたと、副社長は Zucker 氏に言いました。
副社長がガラス張りのオフィスで使っている大きなホワイトボードに、氏は気づきました。カンバンの各項目をボードに配置し、そのボードをひっくり返して、オフィスの外にいる誰もがボードと、その部門のプロジェクトの進捗状況を見られるようにしてはどうかと、Zucker 氏は提案しました。
「通りかかった人はこう言うでしょう。『これがテクノロジー部門のやっていることか。ここにプロジェクトA、B、C、こっちは優先順位のリスト。ここには、次に取り組もうとしている事項のバックログがある。』」
Zucker 氏によると、そうした物事を示すことは、組織内の全員にとって有益であることが証明され、部門が取り組んでいるプロジェクトと、その進捗状況を把握することが可能になりました。 - さまざまなプロジェクトで同じチームを維持する
以前、電気通信会社で財務システムを担当していた Zucker 氏は、およそ 20 のソフトウェア アプリケーションを管理するチームを監督していました。
氏は同じスタッフで構成される長期チームを編成し、さまざまなプロジェクトに継続的に取り組みました。「新しいチームを編成し続けていたら、いつも最初へ逆戻りです。優秀なチームになるのは極めて困難です。」
特定のプロジェクトではチームをわずかに再構成することがあると、氏は言いました。しかし、ほとんどのチームは解散せず、次々とプロジェクトに取り組みました。
Zucker 氏は言います。「自分たちの強みと弱みを理解し、仲間意識を育てました。チームが行うコミュニケーションも開発しましたが、そこでは 3 つの言葉を言うことができ、その 3 つの言葉がはるかに大きな意味を持ちます。誰に話すべきかわかっていて、心配せずに質問できました。」
プロジェクト管理のベスト プラクティスを実践する方法
組織がプロジェクト管理のベスト プラクティスを実施するのに役立ついくつかのヒントを、専門家が提供します。多くの場合、組織はプロジェクト作業における問題点を分析した後、何らかの基本的なベスト プラクティスを実施し、それらの問題による組織へのコストを定量化します。
プロジェクト管理のベスト プラクティスを導入する基本的なステップを以下に示します。
- 組織のプロジェクト管理、生産、その他のプロセスの問題領域を話し合う
過去 10 年以上にわたる調査では、期限内かつ予算内で完了するプロジェクトの割合は半数に満たないことが一般的に示されています。Standish Group (スタンディッシュ グループ) による、業界内で有名な 2015 年 CHAOS レポートでは、プロジェクトの 36% が成功裏に完了したと判明しました。また Project Management Institute (プロジェクト マネジメント協会) による 2021 年の年次報告書では、近年行われたプロジェクトの成功に向けての改善点が示されています。しかし、期限内に完了したプロジェクトの割合は 55%、予算内で完了したプロジェクトの割合は 62% に過ぎないことが判明しています。
そのため、Zucker 氏はクライアントに「プロジェクトにどれだけ満足していますか?」と直接尋ねています。
氏は比喩的に、「プロジェクトを実行している組織でさえ、その大半はかなり悪い事態を経験している。」と言います。
Pourkermani 氏もクライアントに「あなたが抱えている悩みは何ですか?」と聞いています。「夜も眠れないほどの、そうした大きな問題は何かを突き止めるのです。」
Zucker 氏と Pourkermani 氏は、組織が自社の問題を理解し、認識するのを助けることは、プロジェクトを改善しうる何らかの慣行を実施する最初のステップだと言います。 - これらの問題点や悩みのコストを定量化する
組織がプロジェクトの問題や遅延 (従業員の労働時間を含む) に対処するにあたっては、使用している (または無駄にしている) 余分なリソースを示し、定量化する必要があると、専門家は言います。
「それを数値化するのです。」と、Pourkermani 氏は言います。「そうすることで危機感が生まれます —『これについて何かをしなければならない。』のです。また、変化しないことで組織や会社、および自分の成功に与える影響を数値化します。そうすれば、ある種の切実感と、変化が必要だという感覚が生まれることでしょう。」 - こうした問題の多くをよりよく解決するにはどうすればよいかを示す
「これらのベスト プラクティス、方法、そして物事によって、こうした問題を解決できるということを (組織に) 示すべく、メッセージを考えてください。」と、Pourkermani 氏は言います。 - プロジェクト管理の慣行を自社の状況に合わせてカスタマイズできると、クライアントを安心させる
組織によっては、自社とその文化、および業界に合わないベスト プラクティスを組み込むのに消極的な場合があります。どのようなベスト プラクティスであっても、その組織に合った形で変更および実施できるし、またそうあるべきだと組織に保証するのが有益であると、専門家は言います。
「私がよく重視している点の 1 つに、すべてのプロジェクトに合うソリューションはないので、標準を考え出すつもりはない、ということがあります。」と Zucker 氏は言います。「私が強調したいのは、時間をかけて成熟させることが可能な、一貫性のある繰り返し可能な慣行を確立して、組織によるプロジェクトの実行を改善することです。」 - プロジェクト管理の言語をタスクやプロセスから最終結果に移す
プロジェクト マネージャーは「結果ではなくアクティビティの観点から」話すことがよくあると、Attri 氏は言います。「そのため、上級経営陣に結果を感じさせることが、プロジェクト管理に含まれます。結果の絵を描くのです。」
結果が製品の場合、「この製品をより短期間で発売までこぎ着ける。」という全体的な目標を示す必要があると、Attri 氏は述べています。「全体像を描いている瞬間は、特定の手順をスキップしているかどうか誰も質問しません。この結果を市場に投入するために何が必要かという観点から、その絵を描いたからです。」 - 必要に応じてプロジェクト管理の変更を促す
Pourkermani 氏は、多数のプロジェクトを抱えるクライアントであっても、「一歩下がって、今日使用しているプロセスが実際に役立っているかどうかを確かめる」よう促します。「自分が市場のどこにいて、市場で何を見ているのかを鑑みて、そのプロセスは適切ですか?迅速な対応が可能ですか?これらのプロセスならば可能だと思うほど、効率的に運用できていますか?それとも、プロセスによって多数のオーバーヘッドが加わったり、速度が落ちたりしていますか?自社の役に立っていない場合は、一歩下がって再評価し、変更を加えましょう。」
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