コンテンツ管理 101: 最適なアプローチと手法の見つけ方

By Joe Weller | 2018年1月2日

今日のコンテンツはデジタル環境を中心とすることが多く、Web サイトを持つ企業はコンテンツ ビジネスに関わっていると考えることができます。毎日、毎時間、毎分のペースで大量のコンテンツが絶え間なく作成されているため、コンテンツ整理の方法を見つけることが極めて重要になります。そこで役立つのがコンテンツ管理とコンテンツ管理システムですが、組織に適したシステムを見つけるのは簡単ではありません。このページでは、コンテンツ管理システムについて知っておくべきことを説明し、コンテンツ管理戦略を作成する際の重要なステップを理解できるよう、コンテンツ管理の基本を概説します。

 

コンテンツ管理の定義

まずは基本から始めましょう。コンテンツとは何でしょうか。この質問に対する答えはそれほど簡単ではありません。実際、専門家のボブ・ボイコ (Bob Boiko) 氏は著書『The Content Management Bible (邦題: コンテンツ マネジメント パーフェクトガイド)』で、このトピックに数章を費やしています。端的に言えば、コンテンツとは、人間の編集者が作成し、公開して他の人が消費できるようにした情報です。例えばこの記事はコンテンツですが、電子商取引サイトを通じて行われた購入リストなどの生データのストリームはコンテンツではありません。コンテンツは文章に限りません。ビデオや画像、ポッドキャストなどのオーディオ ファイルも、SNS 投稿と同様に一般的な種類のコンテンツです。一般的な企業がどれだけのコンテンツを生み出しているかを想像してみてください。

コンテンツ管理とは、作成、公開、アーカイブというライフサイクルを通じてコンテンツを取り扱うプロセスです。学者が使用できるよう司書がパピルスの巻物を整理して保存していたアレクサンドリア図書館のような古代の図書館に始まり、何千年にもわたってさまざまな形で存在してきました。公共向けに作られたライブラリに加え、企業は多くの場合、記者が記事を書く際に利用する古い新聞記事を集めた「保管資料ファイル」のように、独自のコンテンツを維持してきました。

コンテンツ管理の主な構成要素: 幸い、極めて強力な機能を備えた低コストのオープン ソース システムが多く登場し、コンテンツ管理は一般に広まっています。オールインワンのシステムを使用する場合でも、さまざまなツールとプロセスを組み合わせて使用する場合でも、コンテンツ管理には 7 つの典型的な構成要素があります。

 

Content Management Components
  1. 整理: コンテンツのカテゴリと分類法の作成。例えば、トピック別 (デジタル トレンドに関するコンテンツなど) やタイプ別 (動画など)、またはその両方などで整理できます。  
  2. 分類: カテゴリと分類法を作成したら、個々のコンテンツがどれに該当するかを決定します。
  3. 保管: コンテンツは、目的に応じて特定の形式で特定の場所に保管する必要があります。社内チームが使用する画像には企業サーバーが適しているかもしれませんが、全国の営業チームを対象としたプレゼンテーションは、パスワードで保護された専用のオンライン システムに保存する必要があるかもしれません。
  4. ワークフロー: コンテンツ作成プロセスは、組織が確立したガバナンス ルールを順守する必要があります。例えば、マーケティング担当者がブログ投稿を作成し、デザイナーが画像を作成し、マネージャーがレビューしてから会社の Web サイトに投稿します。  
  5. バージョン管理: 多くの場合、ワークフロー プロセス全体を通じてコンテンツが編集され、複数のバージョンを維持および管理することになります。前の下書きに戻したり、クライアント タイプ別に作られる各バージョンのプレゼンテーションなど、何らかの目的で使用したりします。  
  6. 公開: コンテンツはこの段階で Web サイトやブログ、イントラネット、電子メール、サードパーティ プラットフォーム (YouTube や、Instagram、Facebook、Twitter などのソーシャル メディア ツール) など、望ましい発信チャネルを通じてユーザーに配信されます。もちろん、印刷されたニュースレターのようなデジタル以外のチャネルもまだ存在します。
  7. アーカイブ: 使用されなくなった古いコンテンツを長期保存のためにアーカイブに移動したり削除したりするプロセスです。

コンテンツ管理を成功させるには、コンテンツ管理で目指す目的に向けた一連の指針と目標であるコンテンツ管理戦略を策定する必要があります。次のセクションでは、コンテンツ管理戦略を作成する際に従うべき基本的な手順について説明します。

コンテンツ管理戦略作成の 5 つのステップ

コンテンツ管理戦略を作成するには、ニーズとリソースに焦点を当てる必要があります。それには 5 つの重要なポイントがあります。

 

Creating a Content Management Strategy
  1. 自分自身を知る: まず、コンテンツ管理と目標とするものに対して組織が持つ動機を明らかにすることから始めます。公開プロセスを短縮する方法を探しているのかもしれませんし、品質管理に問題があり、編集プロセスにレビューを追加したいと思っているのかもしれません。あるいは、整理すればもっと活用できるような膨大な既存コンテンツが存在するのかもしれません。何でも考えられます。  
  2. 範囲を設定する: コンテンツ管理ソリューションの作成は、多くの時間とお金を必要とする大がかりなイニシアチブであるため、優先度に基づいて合理的な範囲を設定します。例えば、主な問題が品質管理である場合は、ワークフローに焦点を置く必要があります。既存のコンテンツの再利用に関心がある場合は、より優れたアーカイブ システムを優先する必要があります。また、最初は特定の種類のコンテンツに対するエンドツーエンドのソリューションの作成を検討するとよいでしょう。例えば、組織が生成する他の種類のコンテンツよりも、ブログ投稿に焦点を置くことを検討してみます。
  3. チームを募集する: コンテンツ管理を成功させるには、主要な関係者を最初から巻き込む必要があります。関係者はまず、潜在的な落とし穴や課題を考え、最終的なソリューションがそれらを考慮したものになるよう助けてくれます。次に、関係者は多くの場合、開発したコンテンツ管理システムやツールを使用する立場にあり、何らかの貢献をしたと感じていれば非常に受け入れやすくなります。
  4. 将来に備える: 将来の計画を立てずに当面の問題を解決するという失敗がよくあります。そのため、コンテンツ管理戦略が長期的に機能するようにしてください。制作するコンテンツの量はビジネスの成長に合わせて次第に増加するのか、新しくチーム メンバーを追加するのかを考えます。おそらく、新しいチャネルにも対応する必要があります。例えば、主なコミュニケーション ツールを Web サイトの使用からモバイル アプリの使用に変更する場合などです。
  5. 行動を起こす: ニーズ、範囲、リソース、将来の成長を明確に理解した上で、計画したソリューションのロードマップを作成し、導入を開始します。多くの場合、このプロセスでの重要な役割はコンテンツ管理システムの選択と導入です。

コンテンツ管理システムとは

コンテンツ管理システム (しばしば CMS と略される) は、ユーザーがコンテンツの作成や編集などの主なコンテンツ管理機能を実行するためのソフトウェア ツールです。コンテンツ管理プロセスを最初から最後まで包括的にサポートするツールがあり、それは多くの場合、ツールを通じてデジタル コンテンツを公開することを目的としています。

コンテンツ管理システムはコンテンツ管理フレームワークとは異なりますが、同じこともたくさんできます。コンテンツ管理システムは通常、多くのユーザーが必要とする主な機能を備えたすぐに使えるソリューションですが、フレームワークは、コンテンツのさまざまなコンポーネント同士に互換性を持たせ、プログラムによってさまざまなプロセスを自動化できるような、基盤テクノロジーです。コンテンツ管理システムが行う多くのことを、最終的にはフレームワークで行うよう設定できますが、それにはかなりのコーディングが必要で、コーディングができる人材を雇える企業や、既製のソリューションではうまく対応できない特殊なニーズを持つ企業に適しています。

コンテンツ管理システムの方が一般的な選択であるため、コンテンツ管理システムについてよく理解できるよう説明します。コンテンツ管理ソリューションにはさまざまな種類があり、ここでは管理するコンテンツの種類別に整理します。

オンライン コンテンツ: 多くのコンテンツ管理システムは、Web サイトに公開するコンテンツの作成プロセスを促進します。オンライン コンテンツ管理システムには次のようなタイプがあります。

  • Web コンテンツ管理: このシステムを使えば、作成者や編集者が HTML でコーディングしなくても Web サイトのページを作成、管理、公開できます。
  • デジタル資産管理: 写真、ビデオ、オーディオ ファイルなどのデジタル資産を整理して保存できます。Web コンテンツ管理システムやその他のコンテンツ管理システムと組み合わせて使用できます。
  • コンポーネント コンテンツ管理: XML コンテンツ管理とも呼ばれるこのシステムでは、基本的に、Web ページの構成に使用できる各資産を一元的に保存できるため、同じコンポーネントをコピーせずに複数の場所に表示できます。例えば、さまざまなページに会社のロゴを配置しながら、保存場所は 1 つにできます。

新しいコンテンツ形式: 次のような人気のある新しいタイプのコンテンツを使えるよう、特殊なコンテンツ管理システムが現れて始めています。 

  • モバイル コンテンツ管理: このシステムを使えば、企業ユーザーは携帯電話やタブレットなどのデバイスからコンテンツ ファイルに安全にアクセスできます。通常は公開よりも保管の機能に重点を置いています。
  • 動画コンテンツ管理: 動画はファイル サイズが大きいという特有の問題があり、一部のコンテンツ管理システムでは問題が発生してパフォーマンスが低下する場合があります。動画コンテンツ管理システムは、こうした巨大なファイルの保管、整理、配信に最適化されており、さまざまな種類のデバイスで動作する自動作成のストーリーボードやプレーヤー ソフトウェアでの表示など、便利な機能があります。
  • SNS 管理: このツールは、ソーシャル メディア コンテンツをより効率的に整理できる便利な方法を提供します。各ソーシャル メディア プラットフォームにはもちろん独自の作成機能や配信機能がありますが、ソーシャル メディア管理システムは、ワークフローや、複数作成者のサポート、スケジューリング、コンテンツの再利用などの機能を追加できます。

 

Hootsuit Report on your impact

出典: Hootsuite

レガシー コンテンツ: デジタル コンテンツは爆発的に増加していますが、旧タイプのファイルやドキュメントがなくなったわけではありません。多くの企業が以下もサポートする必要があります。

  • エンタープライズ コンテンツ管理: 特に大企業では、ドキュメントやプレゼンテーションから電子メールまで、すべてを保持するエンタープライズ コンテンツ管理システムが役立ちます。重要な優先事項には、セキュリティの維持や、従業員のノート パソコンが故障した場合にファイルが失われないよう自動アーカイブすることなどがあります。  
  • 記録またはドキュメント管理: 古き良き紙ファイルも、多くの企業にとって大切です。ここで適切なソリューションはソフトウェア ツールではなく、過去のファイルを保管してオンデマンドで提供したり、スキャンしてデジタル アーカイブの作成を支援したりするベンダーとの関係です。

プロセスの一部に焦点を当てたデジタル資産管理システムなどの特殊なツールもあります。ブランド コンテンツの管理は、資産を保管するだけにとどまりません。重要なのは、デジタル資産の作成を効率化しアクセスを確保すると同時に、組織全体で最大限に活用することです。デジタル資産管理 (DAM) システムは、それを実現するように設計されています。信頼できる唯一の情報源を用いて社内外のチームが共同作業することが、今日のコンテンツ管理戦略の成功に不可欠です。

組織内でデジタル コンテンツの信頼できる唯一の情報源を維持することも重要ですが、そのコンテンツと、コンテンツが存在する外部の多数の場所とを簡単につなげられることも重要です。Web サイト、広告キャンペーン、パートナーとのコミュニケーションなど、どのポイントでも、アクセスを許可して CDN リンクを提供する機能は、コンテンツを効率的に管理して一貫したブランド体験を維持するためには不可欠です。

Commscope (コムスコープ) の地域マーケティング スペシャリストであるケイトリン・ピンカートン (Caitlin Pinkerton) 氏によると、「デジタル資産管理は共同作業に最適です。コンテンツやリソースをパートナーやチーム メンバーと中心的な 1 つの場所で共有するのに最適な方法です。非常にアクセスしやすく、整理されており、チームで自己調達できるため、時間を節約でき、全体的の効率が高まります。」

コンテンツ管理システムに関する考慮事項

こうして分類したように、コンテンツ管理システムは数多く存在します。以下のヒントは、必要なシステムを見極めるのに役立ちます。  

  • どのようなコンテンツを管理しようとしているのか。明らかに動画が多い場合は、動画コンテンツ管理システムを検討する必要があるかもしれません。主にドキュメントやプレゼンテーションを扱う場合は、典型的なエンタープライズ コンテンツ管理システムが適しています。
  • どのくらいの量のコンテンツがあるのか。コンテンツが多ければ多いほど、システムの堅牢性が必要になります。多くのコンテンツを整理して保管するという頭の痛い課題には、強力なアーカイブ機能が必須になります。
  • どのくらいの数の関係者がいるのか。関係者が複数いれば強力なワークフロー機能が必須になります。チームが世界中に分散している場合は、事情がさらに複雑になる可能性があります。Wordpress のようなシンプルで使いやすいツールは、小規模なチームが 1 か所で維持している Web サイトには向いているかもしれませんが、複雑なグローバル サイトにはあまり向いていません。
  • 一貫性と説明責任はどのくらい重要か。複数のユーザーが同じルック アンド フィールとユーザー エクスペリエンスを維持できるようにするには、包括的なテンプレート機能とガバナンス機能を備えたツールが必要です。組織によっては、監査証跡の作成 (どのユーザーがどの変更を行ったかを記録する機能) が役立ちます。  
  • どのような IT 人材がいるのか。HTML に詳しいコーダーを雇用している企業には、エンドツーエンドの Web コンテンツ管理システムは必要ないかもしれませんが、技術に詳しくないマーケティング担当者の集まりが独力で Web サイトを公開しなくてはならず、WYSIWYG (完成形を確認しながら作業できること) が必要な場合は、そうはいきません。
  • どのようなガバナンス システムを求めているのか。ガバナンスとはつまり、「責任転嫁しない」ためのものです。コンテンツ管理アプローチに必ず取り入れるべき要素です。個々のクリエイターに極めて近いところでコンテンツの承認と公開が行われるローカル ガバナンス システムが必要な場合もあれば、ブランド コンプライアンスを確保し重複作業を避けるのに最適な、集中管理型ガバナンス システムによる統制が必要な場合もあるでしょう。多くのコンテンツ管理システムは、両者を取り入れたフェデレーテッド ガバナンス システムに対応しており、複数のローカル マネージャーがコンテンツを承認して公開できますが、標準やスタイル ガイドなどの重要なポリシーは一元的に設定されます。  

コンテンツ管理システムの仕組み

コンテンツ管理システムとそのさまざまな種類について理解できたところで、次は仕組みについて詳しく説明します。これらのシステムの多くは、コンテンツ管理の基本的なコンポーネントを 1 つのソフトウェア プラットフォームとして組み合わせることで、ライフサイクル全体を通してコンテンツを管理し保管できるようにします。それにより複数の共同作業者が、それぞれの役割を果たしたり、設定されたテンプレートやレビュー レベルを通じて編集、デザイン、品質の基準を適用したり、バージョン管理機能を提供したりできるようになります。それには次のような機能が含まれます。

  • 整理: フォルダーのほか、検索可能なタグやメタデータなどで分類することで、コンテンツを簡単に見つけることができます。ほとんどのシステムではインデックスも作成し、作成日や公開日、作成者などの一般的なパラメーターでコンテンツを検索できます。
  • 作成: 事前に設定された標準やスタイル ガイドラインに沿ったコンテンツ作成を支援します。例えば Web コンテンツ管理システムでは、ブログ投稿を直接入力できますが、見出しの最大文字数や使えるフォントが決まっています。
  • 関係者管理: さまざまなユーザー ロールを設定できます。例えば、管理者はテンプレートやスタイルを修正でき、共同作業者は特定の領域でのみコンテンツを作成でき、編集者は複数の共同作業者のコンテンツを確認して公開を承認できます。
  • 編集: ユーザーは、バージョン管理や監査証跡などの機能を使用してコンテンツを修正できます。つまり、誰がどのような変更を加えたのかを確認し、必要に応じて以前のバージョンに戻すことができます。
  • 公開: コンテンツをユーザーが利用できるようにします。現在では多くの場合、Web サイト、ソーシャル メディア プラットフォーム、電子メールなどのデジタル プラットフォームを介して行われます。
  • 短期保管: さまざまなサイト ページで活用できる画像資産のデータベースを提供する場合など、編集や流用ができるようコンテンツを維持します。
  • アーカイブ: 使用されなくなったコンテンツを長期的に保管し、調査や履歴確認の目的でアクセスできるようにします。短期保管コンテンツが増えすぎないよう防ぎ、効率と使いやすさを高めます。
  • 管理とメンテナンス: 管理者ユーザーは、テンプレートの更新、パフォーマンスの改善、公開プロセスでのバグの修正など、必要な変更をシステムに対して行うことができます。  

詳細: コンテンツ管理システムの機能

コンテンツ管理システムの全体的仕組みを理解したら、そうした主要なコンポーネントをサポートするために不可欠な機能や性能を詳しく見てみましょう。

統合ファイル管理: コンテンツの保管とアクセスに役立つ機能です。

  • リレーショナル データベース: 組織内にさまざまな種類のデータがある場合、それらを保管し簡単にアクセスできるようにするため、リレーショナル データベースが必要な場合があります。これらのデータベースでは、SQL クエリを使用してアクセスや変更ができる相互リンクされたテーブルのシステムを使用します。
  • フォーマット管理: コンテンツを標準的なファイル形式に変換する機能は、多くのシステムで役立ちます。例えば、企業では、さまざまな画像をオンラインでうまく動作する特定のファイル形式に保存し、多くの異なる形式での保管や使用を避けたいと考える場合があります。紙のドキュメントが多い企業では、フォーマット管理は、古いファイルをスキャンして電子利用のために変換するサービスまで含まれることもあります。  
  • インデックス作成、検索、取得: インデックスに従ってファイルを分類し、必要な基準に基づいて検索し、求めるファイルを取得する機能は、効果的なアーカイブおよび保管システムに不可欠です。これらの機能が各種システムでどのように動作するかは、大きく異なります。例えば、コンテンツに添付されたタグやメタデータだけを検索するシステムもあれば、完全なキーワード検索を行うシステムもあります。  

ワークフロー機能: 関係者の管理や、編集と公開のプロセスにとって重要です。

  • ユーザーの割り当てと権限管理: ほとんどのコンテンツ管理システムでは、異なるタスクの実行権限を持つさまざまなユーザー ロールを設定できます。これはガバナンス体制をサポートする上で重要です。また、システムでは通常、タスクをユーザーに割り当て (コンテンツの完了部分を承認のために送信するなど)、作業時にはユーザーにコンテンツを「チェック アウト」させることで、編集作業がかち合わないようにします。  
  • 監査証跡ログ: 多くの人がコンテンツに対して作業を行う大規模な組織で特に重要です。この機能は通常、コンテンツの変更回数、変更日時、変更内容、変更した人物を、データ ポイントの中で追跡できます。このトピックの詳細については、『Audit Trails: The Who, What, and When of Business Transactions (監査証跡: 企業取引の実施者、実施内容、実施時の管理)

    』をご覧ください。  
    Sample Audit Trail Log

     
  • 履歴ファイル バージョン管理: ワークフロー プロセスの一環として、多くのシステムではファイルの複数のバージョンを保存しており、必要に応じて元に戻せます。この機能は、特定の共同作業者が作成したバージョンを確認できるため、監査証跡にも必要なコンポーネントです。

管理機能: この一般的な機能は、さまざまなコンテンツ管理システムに組み込まれています。

  • ヘルプ機能: ほとんどのソフトウェア ツールと同様に、コンテンツ管理システムにはヘルプ ツールがあり、オンライン フォーラムや、一般的なタスクを順に説明するウィザードなどのリソースが用意されています。  
  • カレンダー: カレンダーは頻繁に使用される機能で、コンテンツの公開を事前にスケジューリングできます。同じ日に複数のニュースレターをクライアントに送信したり、同じ時間に複数回ツイートしてその日は終わりにしたりするような問題を避けるために、計画されたコンテンツがいつ公開されるかを確認します。   
  • ライフサイクルの計画と管理: この機能は、コンテンツのライフサイクル全体のルールの自動化に役立ちます。例えば、公開したニュース記事を 1 日後にはあまり目立たない位置に移動したり、過去のイベントへの参加を促すページを自動的に削除してアーカイブしたりします。

Web で役立つ機能:

  • デジタル著作権管理: サードパーティのコンテンツを大量に使用したり、他の人にコンテンツの購入や共有を促したりするサイトでは、著作権を保護し、設定されたポリシーに従ってのみコンテンツが使用されるようにする上で、デジタル著作権管理機能が役立ちます。
  • SEO サポート: Web コンテンツ管理システムは一般的に、Web ページがメタ タイトルや説明用のフィールドなどを通じて検索エンジンの結果表示を改善できるようにします。
  • Web エクスペリエンスのカスタマイズ: 一部のより高度なシステムでは、ショッピング サイトで以前に閲覧したアイテムやおすすめの類似アイテムを表示するなど、サイト訪問者の行動や好みに合わせてカスタマイズされた体験を提供できます。   

コンテンツ管理システムの長所と短所

コンテンツ管理システムとは何か、そして何ができるかが明確になりましたが、その長所と短所は何でしょうか。コンテンツ管理システムには大きなメリットがたくさんありますが、適切に導入しなかったり、間違ったシステムを選択したりすると、間違いなくデメリットになります。

長所:

  • 効率的なチーム管理: コンテンツ管理システムは、ガバナンス プロセスと役割ベースの関係者管理を通じてチームの共同作業を促進します。バージョン管理や、全員が最新状態かどうかを心配せずに、複数の作業者が簡単に 1 つのコンテンツに取り組めるようになり、各ユーザーが暴走したり行き過ぎた変更を加えたりしないよう防止できます。
  • 統一的設計: ほとんどのコンテンツ管理システムにスタイル ガイドとテンプレートが組み込まれており、一貫したルック アンド フィールを確保できます。世界中の何十人もの作業者がコンテンツに関わっていながら、Web サイトが明確なブランド アイデンティティを維持するには、それらが重要です。
  • 体系的バージョン管理: これまでは、ドキュメントが最新バージョンかどうかを確認する無駄な時間がかかっていました。特に、ファイルを電子メールで送信してローカルに保存する際に問題となっていました。コンテンツ管理システムは、常に最新のバージョンを 1 つだけ提供することでこの問題を解決し、時には監査証跡を通じて誰がどのような変更を加えたかを確認できるようにします。
  • IT/コーディングのコストとニーズの削減: デジタル コンテンツ管理システムでは、コードを知らないビジネス ユーザーでもコンテンツを作成、編集、公開できます。このシステムを立ち上げて大きく変革するには確かに IT チームのサポートが必要ですが、CMS は多数の IT スタッフやコーダーがいなくても組織の活動の助けになります。

短所:

  • デザインの柔軟性が低い: 統一的な設計基準は、裏を返せば少しもはみ出せないということです。コンテンツが非常に多様でユニークな場合、コンテンツ管理システムでは制限が多すぎるかもしれないため、より柔軟なコンテンツ管理フレームワークの導入を検討するとよいでしょう。
  • ソフトウェアの肥大化: コンテンツ管理は包括的な性質のため複雑になりやすく、肥大化して、ユーザーにとって複雑でパフォーマンスに影響があるようなシステムになる可能性があります。正確に必要な機能を入手しようと複数のツールを組み合わせ、ひどく混乱した状態になる場合もあります。
  • トレーニング プロセスが難しい: ビジネス ユーザーはコーディング方法を学ぶ必要はないものの、コンテンツ管理システムの使い方を学ぶ必要があり、そのプロセスは必ずしも簡単ではありません。よく使われているシステムを使用することでプロセスを短縮できますが、カスタマイズが増えるほど、必要なトレーニングが増えます。  
  • IT 効率が予想より低い: コンテンツ管理システムのバグが多かったり制限が多すぎたりする場合は、修正や新しいテンプレートの作成のために多くのコーダーを雇う必要があるかもしれません。最悪の場合、予算外の予期せぬ障害対応のために、エージェンシーやサードパーティ ベンダーを常に頼る必要があるかもしれません。  

テクノロジーへの偏重: テクノロジーは作業を肩代わりする 1 つの方法です。ブランド基準を完全に順守した見栄えの良い Web サイトだけれども、作成者が真にクリエイティブな気持ちになれなければ、まったく退屈なコンテンツになるかもしれません。また、マーケティング チームは新しい手法のブレインストーミングを止め、コンテンツ管理システムで確立されたチャネルを通じて多くのことを進めようとするかもしれません。ソリューションが実際の担当者であるかのようにならないよう、自分に合ったソリューションを選択することが重要です。

コンテンツ管理システム ツールの概要

コンテンツ管理システムを評価し、最適なものを見つけるプロセスを開始するために、理想的な使用シナリオ別に整理した一般的な選択肢の概要を説明します。

小規模な Web サイト向け: 無料や低コストのシステムは通常、小規模な組織や Web サイトに必要なものをすべて取りそろえています。

  • WordPress: 世界中のブロガーから選ばれている WordPress は、おしゃれなサイトを比較的簡単に素早く開設でき、多くの支持を得ています。PHP と MySQL に基づいており、サーバーにローカルにインストールしたり、サードパーティのクラウドベース サービスで使用したりできます。コスト (オープンソースで無料) に加え、幅広い事前プログラム モジュールとヘルプ リソースが人気をさらに高めています。
  • Joomla: Joomla も無料かつオープンソースであり、MC フレームワーク上に構築され、PHP で書かれています。WordPress ほど人気がない理由には、少し使いにくく、既成のコンポーネントやアドオンが少ないことがあります。しかし、このツールは WordPress よりも柔軟性が高く、複数の言語や地域のサポートなど、より複雑なニーズを持つ企業に適しています。
  • BackDrop: BackDrop は、オープン コンテンツ管理システムの世界で 3 番目に有力なテクノロジーである Drupal 基づいています。カスタマイズ性と制御性はおそらく最高レベルですが、開設はやや難しくなっています。より柔軟で高性能なシステムを求め、カスタム コードにも前向きな、より高度なニーズを持つ企業に適しています。

ドキュメント管理向け: オンラインでのコンテンツ公開より社内の共同作業を重視している組織では、これを検討する価値があるかもしれません。

  • SharePoint: Microsoft の提供であることから分かるように、SharePoint はビジネス用であり、オフィス環境でのファイルの保管、共有、管理を簡単にします。ドキュメント管理に Sharepoint を使用する方法については、こちらの記事で紹介しています。
  • Smartsheet: クラウドベースの企業業務管理プラットフォームである Smartsheet は、使いやすいスプレッドシートにほぼすべての種類のファイルを添付でき、コンテンツを迅速かつ簡単に共有し保管できます。また Smartsheet では、割り当てられたタスクをユーザーに通知することも簡単です。Smartsheet によるドキュメント管理の詳細については、こちらをクリック してください。

大規模なサイトや企業向け: 大規模な多国籍企業や Web サイトには、オープンソースの CMS では満たせないニーズがあります。いくつか選択肢を紹介します。

  • OpenText ECM: この会社は長年にわたり、Documentum や Interwoven など、競合するコンテンツおよびドキュメント管理システムを数多く取り込んできました。たくさんのコンテンツがある場合でも、モバイル デバイスからコンテンツを管理したい場合でも、複雑な規制要件を遵守する必要がある場合でも、OpenText はすべてに対応できます。クラウドとオンプレミスの両方で利用できます。
  • Oracle WebCenter: テクノロジー大手の Oracle のこのソリューション スイートもすべてに対応できます。コンテンツを 1 か所で集中管理し複数のアプリケーションで共有できるため、強力な一元的ガバナンス ポリシーのある企業に適しています。また、カスタマイズされた Web エクスペリエンスの提供にも重点を置いています。実際同社は、これらのツールを Web コンテンツ管理システムではなく「ユーザー エンゲージメント アプリケーション」と呼んでいます。

ソーシャル メディア向き: ソーシャル メディア向けの機能をうたう Web コンテンツ管理ツールもありますが、実際には、ほとんどのソーシャル メディア マネージャーはソーシャル メディア専用プラットフォームを使用したいと考えています。

  • Hootsuite: フクロウのアバターの Hootsuite は、画面に複数の列を配置して、多数のさまざまな情報フィードを同時に表示するダッシュボード ビューで知られています。この Web アプリでは、さまざまなユーザー ロールを割り当てたり、コンテンツをスケジューリングしたり、ランディング ページを作成したりできるため、ツール内で総合的なソーシャル キャンペーンを構築できます。Hootsuite は、レポート機能や、LinkedIn などのサードパーティとのやり取りを特に得意としています。
  • Sprout Social: このプラットフォームには Hootsuite と同じ機能がたくさんありますが、違う点もあります。例えば、異なるアカウントを別々の列ではなく単一のフィードにまとめたり、交信相手について入手できる情報を取得して、再度連絡しやすいよう手元に保管したりできます。Sprout も Hootsuite もクラウドでのみ利用できます。

コンテンツ管理ソフトウェア ベンダーの選択

利用可能な一般的なコンテンツ管理システム ツールをいくつか見てきましたが、どのように選べばいいのでしょうか。選択基準を決め、さまざまな代替案を評価する上で念頭に置いておくべき重要な要素がいくつかあります。

  • 組織の規模と地域的分散。サポートする必要があるユーザーの数と所在地を考慮に入れます。グローバル化と多言語化が必要でしょうか。規模が大きく複雑になるほど、より堅牢なソリューションが必要になります。
  • 提供できる IT サポートのレベル。社内の IT 人材が少ないか、まったくいない場合、オンライン ヘルプ リソースが豊富で、低コストでサポートしてくれる請負業者やエージェンシーが存在する人気のあるオープン ソース システムを利用するとよいでしょう。
  • 予算。これは明らかな要因ですが、幸いにも幅広い予算で多くの選択肢があります。オープン ソース ソリューションは、予算が少ない場合は良い選択かもしれませんが、大企業としてのニーズや潤沢な予算がある場合は、十分な堅牢性と信頼性があるとは言えないかもしれません。
  • コンテンツの量。大量のコンテンツがある場合、強力な保管およびアーカイブ機能を備えたソリューションが重要になります。一方、コンテンツが多くなく、古いコンテンツにあまりアクセスする必要がない場合は、そうしたソリューションは扱いにくくコストが高すぎるかもしれません。  
  • クラウドベース ソリューションの必要性。 クラウドベースとオンプレミスのソリューションのどちらを選択するかも、もう 1 つの大きな決定事項です。重要な要因はコストと人材です。システムをホストするサーバーがあり、システムをセットアップする IT 人材がいる場合は、クラウドの年間サブスクリプション費用を支払うよりもオンプレミスの方が良い選択肢のように思えます。しかし、クラウド ソリューションを使用すると、立ち上げと稼働が迅速で、拡張がより簡単なことも確かです。  
  • 業界特有の要件。医療業界や金融業界は、機密情報を安全に保つためにより多くの対策を行う必要があり、政府機関やその他の関係者向けのレポートを作成する必要がある場合があります。コンテンツ管理システムを評価する際には、これらの要件を念頭に置くことが重要です。
  • システムのユーザー インターフェイスの好み。美しさや使いやすさは人によって異なります。あるユーザーには直感的であっても、別のユーザーには複雑すぎたり、単純化されすぎて制限が多かったりするかもしれません。最終的な決定の前に、システムを実際に使用する人に評価してもらうようにします。

コンテンツ管理システムを導入するためのヒントとベスト プラクティス

コンテンツ管理戦略を作成するために必要なすべての情報がそろったら、コンテンツ管理システムの選択と導入を始めます。しかし、自分のやり方が成功するかどうか、どうすれば分かるのでしょうか。それには次のヒントとベスト プラクティスが役立ちます。

大切なのは利用者。技術的詳細だけを詰めるのは簡単ですが、コンテンツ管理システムは適切なメンバーのサポートなしには機能しません。新しいシステムの採用に乗り気でない関係者はたくさんいます。技術に詳しくなく新しいシステムの学習に気後れしている人や、制御できなくなることを心配する管理者、クリエイティブに発想し基準やスタイル ガイドに縛られたくない人など、さまざまです。

早期にこうした人々を巻き込み、新しいシステムでの役割に慣れてもらうことが、成功に不可欠です。例えば、「知っておくと便利」という程度で新しいコンテンツを日常的に受信していた人は、プロセスを遅らせないようできるだけ早くコンテンツをレビューする必要がある必須承認者になると分かっても、特に急がないかもしれません。システムをセットアップしたら、スムーズに導入するためにトレーニングが必要です。システムを直接使用しない人でも、チームが新しく使うプロセスを理解できるという点でトレーニングが役に立ちます。

一歩ずつ進める。コンテンツ管理戦略を作成する際には、大局的な視点で、会社に起こると予想される現在と将来のニーズを考慮する必要があります。しかし、実行に移すときには同じアプローチではうまくいかないかもしれません。特に、多くの会社がそうであるように、人材や日程が限られている場合は注意が必要です。一気に変革するよりも、少しずつ改善する段階的アプローチが効果的かもしれません。それにより会社は時間の経過とともに投資を拡大でき、チームは大きな変化に徐々に適応できるようになります。

テストを繰り返す。スケジュールが遅れると、テストをいい加減にしてしまいそうになるものです。しかしスケジュールどおりでも、バグのある信頼性の低いシステムでは良い結果につながりません。最初からテストに十分な時間と人材を割り当て、必要に応じて柔軟に時間を増やしてください。

落とし穴に注意する。ベスト プラクティスを理解することは素晴らしいことですが、よくあるミスを知っておくことも重要です。ここでは、注意すべき点をいくつか紹介します。

  • 無理を通そうとする。前述のとおり、一度に多くのことをやるよりも、段階的に進める方がより良い結果を生み出すものです。明確で現実的な範囲を設定し、思わぬ要件変更を余儀なくされるようなことは避けましょう。
  • 削ぎ落としすぎる。コンテンツ管理システムの導入費用は大きいため、節約すべきというプレッシャーがあるかもしれません。しかし、ソリューション ベンダーやイニシアチブを支える専門家の意見に耳を傾け、推奨事項を却下したり、資格がないか過負荷になるような社内チームにタスクを押し付けたりするのではなく、要件範囲を狭める方がよいでしょう。見落とされることが多い項目の 1 つは、従来のコンテンツを新しいシステムに移行するのにかかる時間です。大量のコンテンツを扱う場合、自動化ツールを使えばタスクを抑えられますが、使わない場合は手動になり非常に時間がかかります。計画ではすべてを考慮し、必要に応じて予算を立てるようにします。
  • 一旦立ち上げたら放置できると考える。システムを稼働させたら、休暇でも取ってから次のプロジェクトに進むような気分でいませんか。よく考えてください。実現しうる最高の計画を立てたとしても、システムが実際にどのように動作するのか最初の数か月で学ぶことは多く、調整と修正を行う必要が出てきます。エンジンの調整のように、うまく稼働するには時間がかかり、しかもビジネスの変化やコンテンツ ニーズの変化に合わせて作業が必要になります。継続的に評価しシステムをアップグレードするために、時間と人材を割り当ててください。      

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