パンデミックのような世界的な出来事であれ、革新的な新しいアイデアやテクノロジーであれ、混乱は日常化しており、企業は迅速な方向転換を迫られたり、市場で衰退していくリスクを抱えたりしています。変化の兆しが見え隠れするなかで、企業の回復力を見極める重要な手がかりになるのが、プロジェクト管理方法です。
プロジェクト管理ツールは数多くありますが、効果的な運用と意思決定には企業全体の連携が重要です。Gartner (ガートナー) の最近のレポートによると、従来のツールを排除し、新しい適応型の手法を採用するプロジェクト管理オフィス (PMO) が増えています。
適応型のプロジェクトおよびポートフォリオ管理 (PPM) は、現在のプロジェクト マネージャーやチームから求められる俊敏性や透明性に対応するため自動化に重点を置いています。適応型の PPM ツールは、一元化されたプラットフォーム上でダッシュボードをリアルタイムに表示し、プロジェクトの優先順位付けとレポート作成のための優れた方法を提供します。
Gartner (ガートナー) は、デジタル ビジネスの進化に伴い、2024 年までに PMO の半数が適応型の PPM 手法を採用すると予測しています。これから、適応型の PPM を採用すべき 3 つの理由を紹介します。
プロジェクトを管理している全員がプロジェクト マネージャーのトレーニングを受けているわけではない
プロジェクト作業を完了することと、プロジェクトを管理することは同じではありません。これらは 2 つの異なるスキル セットですが、マネージャーと従業員は両方に精通している必要があります。自動化を活用する適応型の PM ツールを使ってワークフローを把握すれば、過度な監視が不要になります。
Harvard Business Review (ハーバード ビジネス レビュー) (HBR) の「Future of Work (働き方の未来)」に関する調査によると、世界の経営者の 52% が、ワークフロー管理とインテリジェントな自動化およびコラボレーションを組み合わせた単一のプラットフォームが業務の調整に最も適していると考えています。作業を自動的に次のステップに進めることによって、チームはプロジェクトを着想、実行、レビューの各フェーズに順に移行でき、不注意による見落としが原因でステップが抜け落ちるというリスクがなくなります。自動レポート作成機能を備え、一元化されたダッシュボードでは、情報の可視化と透明化を通じて説明責任を実現し、従業員の自己管理能力を高めることができます。
また、直感的に操作できる適応型ツールは、従業員がプラットフォームを使いこなすまでの学習曲線が、作業の進捗を遅らせる原因となることもありません。わかりやすいツールはイノベーションを促進し、簡単にカスタマイズできるため、従業員の創造的な問題解決能力を引き出します。従業員とマネージャーは、IT ヘルプ デスクのチケットを登録することなく、必要なソリューションを作成できます。
変化する顧客ニーズに絶えず適応するには柔軟性が重要である
顧客ニーズの変化に伴い、企業は連携および方向転換する必要があります。スプレッドシートや電子メールといった、何年も前に導入された古いワークフロー管理方法では、変化する企業ニーズに十分に応えることができません。これらのツールは連携せず煩雑なうえに、使い勝手が悪く、拡張性がありません。HBR の調査によると、世界の経営者の 70% が、使用しているツール、アプリケーション、プラットフォームはインテリジェント テクノロジーを活用する未来に対応していない、と述べています。
組織が今最も重視しているのが、適応型の PM やレポート作成技術を提供するアジャイルなクラウドベースのツールを統合することです。こうしたツールは、通常、Software as a Service (SaaS) を介して展開されます。組織はプロジェクトを定義し管理するための柔軟な方法を求めています。たとえば、カスタマイズ可能なインターフェイスがあれば、チームはプロジェクトの可視化、管理、実行に必要なものを構築することができます。これはオンボーディングに役立つだけでなく、従業員が自分のワーク スタイルや好みに合わせてツールをカスタマイズできるため、不慣れな新しいツールを使いこなすために時間を費やす必要がありません。
また、現在のニーズに合わせた方向転換ができるように、プラットフォームにはウィジェットを追加したり、補完的な機能を統合したりする機能が必要です。ソリューションが柔軟であれば、チームは変化する顧客のニーズに適応し、プロジェクトの性質と規模に合わせて進化することができます。
計画は動的かつ実際の業務に直結したものでなければならない
戦略的な計画と実行には、リアルタイムの可視性が必要です。HBR の調査によると、主要な計画や期限に対する会社の進捗状況を動的に把握できるシステムを導入している経営者は、わずか 32% にすぎません。1 つの問題として挙げられるのは、多くの場合、古いツールがサイロ化されていて、それが作業の重複や機会損失を引き起こすことです。
適応型の PPM プラットフォームはサイロを取り除き、動的な信頼できる唯一の情報源となって、意思決定力を高めます。目に見えるダッシュボードにより、明確に定義された戦略や望ましいビジネス成果に向かってチームは共に進むことができるため、目標が実行計画につながります。
また、一元化されたハブは、透明性の高いコミュニケーション、共同作業、データ共有によってチームの足並みをそろえます。これは、市場の混乱や新しい優先事項の発生により戦略の転換や進化が必要になった場合に非常に重要です。Clear Company (クリア カンパニー) の調査によると、従業員と経営幹部の 97% が、チーム内の連携不足はタスクやプロジェクトの成果に影響すると考えています。また、従業員と経営幹部の 86% が、職場での失敗の原因として連携不足や非効率なコミュニケーションを挙げています。
適応型の PPM 手法を採用する動きには、組織を変革する力があります。適応型ツールを使用すると、生産性を高め、戦略的な計画と実行を改善し、同じプレイブックに沿って作業を続けることができます。情報をリアルタイムに把握できれば、組織は未来に備えることができます。
プロジェクトおよびポートフォリオ管理の詳細については、PPM ガイドでヒントとベスト プラクティスをご覧ください。